秘書岸端とカフェで話をしていたのだが、日本人を自画自賛
する番組や本が売れるのは、よっぽど自分に自信がない表れ
だという話になり、いっそ癒しだらけ、優しさだらけの本を
作ろうかと話した。
社会のムードに合わせて描くなんて、それは先生らしくない、
自分に忠実に描けばいいと岸端は言う。
しかし、自画自賛を求める日本人、厳しさから目をそらしたい
日本人、そんな状況の中で「例の大作は売れるのか?」と
わしが疑念を呈すると、岸端は言うのである。
この出版物のド不況の中で、今の部数売れてりゃ十分だし、
ある意味、厳しさにも耐えられる賢い読者がこんなにいる
のかと驚くくらいだ。
この基礎票があれば、可能性はいくらでもある。
博打しかない。どうせ人生は博打なんだから!
あれやこれやグズグズ迷いつつマイナス思考になるのは、
案外わしの方で、岸端は割り切りがすごい。
楽観的にしか考えてない。
楽観的って、素晴らしいことだなと、つくづく思う。